Baumkuchen’s Workshop

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パソコン修理NEC Lavie LL750/R 原因は想定外のところ・・

パソコン(LaVie LL750/R)修理の続きです。

 

baum-kuchen.hatenablog.com

 前回、分解して目視確認と一部導通確認まで行いましたが、簡単には原因は分かりません。肝心のオーディオICのデータシートが見つからず、トラブルーシュートを断念。

Realtek ALC275

データシートを探すとき良く使うサイトです。

www.alldatasheet.jp

ここで、ALC275を検索しても、近い型番のものは沢山ヒットしますが、肝心の型番がありません。Realtekのホームページでも、この型番のデータシートはダウンロードできません。

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型番の近いものとしてリストアップされたものを見るとどれも、オーディオIC。他で調べると、ALC2**の2は、2ch用のIC型番とのこと。説明書きで、スピーカアンプ付きのもので、一番型番が大きいものである、ALC269あたりが使えるのでは?と思いデータをダウンロードしてピンアサインなどを確認してみました。

実装状態との比較

ダウンロードしたデータシートの回路例と実施の実装状態を比較してみました。(実装状態に合わせ回路図を左回転しています)

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前回までの調査で、スピーカはPin40,42、44、45(写真でスルーホールが2個ずつあるパターンの所)につながっていましたので、回路図と符合します。また、MICジャックとイアホンジャック(写真の左側、写真外)からくる、それぞれの2本のペア(L,R)が、Pin31、22、32、33に入っていますので、これも回路図と符合します。

ということで、この回路図をベースに調べることができそうです。メーカとしても型番を変えても、同シリーズのICの場合、ピンアサインを大きくは変えないということだと思います。

電源回り調査

前回も書きましたが、イアホンでは聞こえて、スピーカで非常に小さな音ということなので、一つの仮定として、スピーカアンプ用の電源電圧が足りてないのではないかということ考えました。これを確認するには、どうしても電源を入れた状態で確認が必要です。

液晶ディスプレイを仮組して、起動できるのではないかと思い、早速実行。

上面パネルまで外した状態で、液晶ディスプレイを横にならべて、配線だけしました。バッテリ、ハードディスクは復元、キーボードや、上面パネルからのフラットケーブルなどは繋がない状態です。上面パネルには、ステータス表示用のLED、タッチパッドへの配線しかないので、電源確認だけなら何とかなると思った次第。(残念ながら写真を撮るのを忘れてしまいました)

いざ電源オンと思ったら、電源スイッチが上面パネルについてました(写真の右上の丸い銅色のもの)。なので、電源を入れるときだけ、上面パネルを仮置きして、電源スイッチに行くフラットケーブルをつなぎ、PCが起動開始したら即座にフラットケーブルを抜いて、上面パネルを外すという荒業です。

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でも何とかPC起動でき電源状態を確認することができました。

結果は白です。ディジタル系2か所、3.3Vあり。アナログ系2か所、5Vあり。スピーカアンプ電源2か所、5Vあり。どこも異常ありませんでした。 

スピーカ用アンプ出力波形確認

推定した故障原因が外れでした。

次なる手としては、スピーカ用アンプ出力の電圧波形を確認するしかないです。なぜと言えば、データシートにあるブロックダイアグラムによると、イアホン用とスピーカ用は、途中で分岐していて、スピーカ用はアンプしか無いためです(下図参照)。

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PCは起動しましたが、音を出すにはログインしないといけません。先ほどと同様に、ログインするときだけ、キーボードのフラットケーブルを仮接続して、ログインが終わったらキーボードを外します。電源を入れたままなので、壊れないか心配ですが、しかた無いです。ログインできれば、あとは無線マウスがあるので、何とかなります。

スピーカアンプ出力は、2.5Vを中点として、スピーカの片側は+方向、もう一方は-側に電圧が振れるようになってました。Windowsのサンプル音を出しながら、オシロスコープで確認すると、スピーカアンプ出力は電圧がそれなりに出ていて、問題なさそうでした。

ALC269のデータシート上は、5V電源で2.3W。スピーカを実測すると4Ω位でしたので、1,2Vの電圧がでていれば十分でしょう。 

真の原因は?

電源も大丈夫、スピーカアンプ出力も問題なさそう、とくれば、残りはスピーカしかありません。にわかには信じられませんでしたが、確認するしかないです。

ということで、ジャンク品のスピーカを探しだし繋いでみました。

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結果は、ビンゴです。つないだスピーカのインピーダンスが高いこともあってか、小さい音でしたが、ちゃんと鳴ってます。なんと、故障の原因は、スピーカでしたか。

このあと、念のためということで、BOSEのスピーカ(6Ω品)をつないでみましたが、こちらは、いい音で大きな音がでました。

で、問題のスピーカをちょっと外してみました。まずは、右側。

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スピーカユニットのスピーカ本体の裏あたりを確認すると、プラスチックが変形した様な痕跡が。これって、熱で変形したってこと?。焦げ臭かった原因もこれか。

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念のため、左側のスピーカユニットも確認。 

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こちらにもありました。左のスピーカユニット裏にも、プラスチックの変形の痕跡。もう、原因は確実です。まさか、スピーカ本体が、発熱、焼損していたとは。それも、左右ともに。意外な結果でした。

おわりに

PCの故障(音が出ない)は、原因はスピーカでした。

じゃあ、何でスピーカ本体が故障してるのか?もう、これは分かりません。ひょっとしたら熱的な設計不良だったり、あるいは、規定以上の出力がオーディオICから出たとか。少なくとも、オーディオICは壊れていなそうなので、スピーカ側の問題かな。

これ以上原因追及としては難しいと思いますが、最後にやることとしては、スピーカユニットの分解がありますが、これは、また、後日、実施します。その前に、似たような大きさと出力のスピーカを探して修理しないと。

なにはともあれ、焦げ臭さの原因もわかり一安心です。

 

最後まで、御覧いただきありがとうございました。

そのうち、PC修理その後をアップしますので、しばしお待ちを。